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    不幸なことに房一の予測はあたつた。いや、それ以下とも云へた。

    徳次はいつのまにか腕組みをしていた。あのあてずつぽうな、そゝつかしい、力りきんだ様子が現れていた。

    「怪我人ができたのかね」

    徳次は、その云ひ慣れない「往診」といふ言葉を口の中で物をころがすときのやうに珍しげに云つて見た。何か特別な響きがあつた。その時、急に彼は房一が医者だといふことを思ひ出していた。

    かまわないから開けてみろというので、男二、三人が協力して無理に第一の戸をこじ開けると、内には誰もいなかった。第二の戸をあけた結果も同様であった。その騒ぎを聞きつけて、他の客もあつまって来た。宿の者も出て来た。

    房一は急いで膿盆をひきよせた。

    「困つたもんだね」

    「僕はクレーが済んでから行つたんでね、もう終りで相沢の馬が勝つところだけをちよつと見たよ。――相沢、得意さうだつたぢやないか」

    「捕虜が内地へ送られるさうだよ」

    「チブスじゃないです。医者は何とか言っていたですが、まあ看病疲れですな。」

    房一はまだ考へ深さうにしていた。

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